2024年10月10日

APIゲートウェイとは

APIゲートウェイトは

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ソフトウェアが革新期に入っている現在は、新しいアーキテクチャパターンが急速なペースで登場し、企業がサービスの開発、デプロイ、利用のために選択する方法が様変わりしています。こうした変化に伴って、プロジェクトのワークフローにも先進的なアプローチが登場しています。DevOpsチームやエンジニアリングチームにとっては、APIライフサイクルの主要な部分を自動化して全体の複雑さを軽減できるようになりました。これらを実現しているソリューションがAPIゲートウェイです。

APIゲートウェイの基本

APIゲートウェイは、マイクロサービスアーキテクチャにおいてクライアントアプリケーションとバックエンドサービスの仲立ちとなるソフトウェアレイヤーです。さまざまなAPIをカバーする単一のエンドポイントとして機能し、リクエストの組み立て、ルーティング、プロトコル変換などを処理します。APIゲートウェイは、APIのトラフィックを管理すると共に、セキュリティポリシーを適用することで、リクエストとレスポンスを制御します。一元的な制御が可能になると、APIマネジメントはシンプルになります。開発者にとっては、APIの複雑なネットワークに煩わされることなく、個々のサービスの開発に専念しやすくなります。

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APIゲートウェイの仕組み

現代のソフトウェアシステムの魅力は、複雑な運用を簡単に処理できる点にあります。

APIゲートウェイの導入についても例外ではありません。この先進的なテクノロジは、クライアントとバックエンドサービスの間でバッファの役割を果たし、エラー検知の一連の手順に対応するほか、必要に応じてアクセス権を付与します。その根底にあるのは、リクエストのパスやその他の関連要素に基づいて適切なルーティングを実現する、的確に系統立てられたアーキテクチャです。マイクロサービスアーキテクチャは、自己完結型の複数のサービスでエコシステムが構成されており、そのなかでの効率的な通信手法が屋台骨となっています。最初のリクエストを受信したバックエンドサービスは、その処理が完了した時点で、APIゲートウェイを通じてレスポンスを返します。ゲートウェイはこれを受けて処理を引き継ぎ、出力を分析したうえで、本来の返送先であるクライアントへとレスポンスを中継します。各クライアントは、一元的な統合アクセスポイントを通じて、エコシステムを構成する各種サービスと連携します。またAPIゲートウェイは、信頼できるクラスタリングを提供するのに加えて、例えばプロキシサーバーとして機能することもできます。その場合、リクエストを代理で受け取って、処理を適切に統制します。

目まぐるしく変化する現代のデジタル開発の世界では、効率が何よりも重要視されます。だからこそ、現代のソフトウェアプロジェクトにおいて、APIゲートウェイは非常に重要な存在になりました。APIゲートウェイは、マイクロサービスアーキテクチャ全体のAPIをカバーする一元的な司令塔であり、不可欠なツールです。キャッシュやロードバランシングなどのスマートなタスク管理を通じて、パフォーマンスを強化します。

APIゲートウェイのアーキテクチャ

APIゲートウェイは複数のコンポーネントで構成されており、これらがシームレスに連動することによって機能します。一般的にはAPIリクエストを受け付けるところから始まり、ルーティング先となるバックエンドサービスに適切にリクエストを転送し、過程でAPIのバージョン管理やセキュリティポリシーの適用等を実施します。併せて、流量制限やロードバランシング、TSLターミネーションといったパフォーマンスやセキュリティに関わる機能性を提供します。この構成はリバースプロキシとしてのルーティング機能を強化するアプローチであり、Ingress ControllerとしてKubernetesクラスタ内のバックエンドサービスへのルーティングにも使用されます。このアプローチによるAPIマネジメントには、一元的なトラフィック制御の仕組みを導入するメリットが多数あります。例えば、開発者が複雑化するネットワークや通信要件の対応ではなく、サービス開発に専念出来るというものがあります。

APIゲートウェイの機能

APIゲートウェイのテクノロジは有益な機能を幅広く備えています。例えば、受信するリクエストを効率的に管理して、適切なバックエンドサービスに簡単にルーティングできます。さらに、クライアントがバックエンドサービスとスムーズにやり取りできるように、プロトコルを自動で変換することもできます。

Developer Portal:APIゲートウェイを導入することで利用できる開発者ポータルは幅広い機能を備えており、開発者にとって大いに役立ちます。APIを簡単に発見できるのに加え、テストと使用のためのツールが用意されている、包括的なプラットフォームです。また、このプラットフォームは情報が満載で、開発に役立つドキュメントやサンプルコード、膨大な数の各種アセットが用意されており、開発に素早く着手できます。

APIトラフィック管理:企業が複雑なバックエンドシステムをシンプルに扱えるようになり、シームレスなユーザー体験を実現できます。APIゲートウェイは受信リクエストに対処し、リクエストパス、ヘッダー、クエリパラメータなどの主要な要素に基づいてルーティングを行います。この機能によってトラフィックの効率的な分散が可能となり、ターゲットのエンドポイント間でロードバランシングが適切に行われます。

プロトコル変換:APIゲートウェイでは、プロトコル変換の機能を通じてプロトコルの違いを吸収できます。APIゲートウェイはデータ伝送のモードを簡単に切り替え、クライアントとバックエンドサービスの間のやり取りをきわめてスムーズなものにします。

キャッシュ:キャッシュは、決定的に重要な役割を果たす要素の1つです。よく使用するデータを頻繁に保存しておくことによって、バックエンドのインフラが処理するトラフィックの量を減らし、最適なパフォーマンスレベルを引き出します。

ロードバランシング:APIゲートウェイを通じてロードバランシングを実装しておくことで、受信リクエストをバックエンドサービスの複数のインスタンスに効果的に振り分け、サービスのスケーラビリティと可用性の両方を向上させることができます。

開発者ポータル:開発者はAPIゲートウェイが提供する開発者ポータルを活用することで、組織中のAPIを容易に発見/閲覧/評価する事ができるようになります。開発者ポータルが提供するのはAPIの仕様に留まらず、サンプルコードその他情報を含んだドキュメンテーションや、APIへのアクセスやテストを容易にするツール等も提供されます。

APIゲートウェイとマイクロサービス

企業がマイクロサービスアーキテクチャを採用するなかで、APIゲートウェイは次第に普及してきました。APIゲートウェイは、バックエンドのすべてのサービスに対する単一のエントリポイントの役割を果たします。開発者は、システムの開発やデプロイ、管理をシンプルに進められるようになります。マイクロサービスを採用する場合、例えば全体の共通事項への対応やサービスディスカバリなど、独自の課題に対処する必要が生じます。しかしAPIゲートウェイを適切に実装することで、こうした対処がしやすくなります。

マイクロサービスアーキテクチャは、個々のバックエンドサービスがそれぞれ独立したアプリケーションとして機能するように設計します。このため、クライアントのリクエストを適切に処理したり、複数のサービスを1つのレスポンスに統合したりすることが複雑になる場合があります。モダンアプリケーションの開発では、取り扱うバックエンドの数が膨大になることが多く、ルートやインターフェースがバックエンドごとに異なっている場合には、個別の処理が必要になります。そこでAPIゲートウェイの出番です。APIゲートウェイは複数のバックエンドをつなぐ唯一のインターフェースとして機能し、この課題に対処します。開発者はリクエストをエンドツーエンドでシームレスに処理できます。

APIゲートウェイとKubernetes統合

APIゲートウェイはKubernetesとの統合においても、バックエンドサービスとアプリケーションのシームレスな通信を提供する重要な役割を担います。ゲートウェイのコンフィグレーション ベースによる拡張機能を利用することにより、Kubernetesクラスタに認証や認可、トラフィック制御等の機能を容易に提供できます。この統合アプローチによってクラスタ全体をより機能的かつセキュアに、APIリクエストを適切な形でバックエンドサービスまで届ける事ができます。Kubernetesのネイティブ機能性に対してAPI Gatewayを補完的に統合することによって、アクセス制御やロードバランシングといった要件をシームレスに達成する事ができます。

APIゲートウェイを利用するメリット

APIゲートウェイは、シンプルな管理を実現し、スケーラビリティと可用性を向上させながら十分なセキュリティ対策を導入できるという点で、現在のソフトウェア開発の世界に不可欠な存在です。エコシステムが絶えず変化する状況下では、顧客のニーズを満たす堅牢なアプリケーションを構築するうえで、スムーズなプロトコル変換や分析を提供することは、独自の強みになります。

シンプルなAPIマネジメント

すべてのアプリケーションが独自のインターフェースとエンドポイントを備えているかのような状況では、API管理の作業に多くの時間を要することがあります。しかし、APIゲートウェイを導入すれば話は変わります。APIの制御を一元化することで、膨大な時間と労力を節約できます。さまざまなソフトウェアのインターフェースを包括的なソリューションの下に統合し、柔軟性と効率性を向上させることができます。単一のエントリポイントを通じてリクエストをルーティングすることは、システムをシンプルにするという面で効果があり、特に複数のバックエンドサービスを扱う場合の効果は絶大です。アプリケーションのインターフェースを統合したうえで、バックエンドシステムがシンプルに処理できるように複数のリクエストを1つにグループ化し、あるいはリクエストを変換することで、アプリケーションの開発と利用に伴う負荷が大きく軽減されます。

APIセキュリティの強化

企業のソフトウェアやアプリケーションにおいて、クライアントのデータの処理は弱点となり得ます。DoS(サービス拒否)攻撃やDDoS(分散型サービス拒否)攻撃は、サーバーに膨大な負荷を与えて正常な機能を停止させることを目的とした攻撃手法です。APIゲートウェイはすべての受信トラフィックを最終的な宛先に到達する前に処理し、この種のサイバー脅威を防ぐには効率的なツールとなります。疑わしいリクエストの素早い特定やAPIの認証チェックを通じて、潜在的な危険に対する防御を強化するという面で、APIゲートウェイは特に有益です。

スケーラビリティと可用性の向上

APIを管理するうえで、APIゲートウェイはワークロードの効率的な分散に役立ちます。受信リクエストをAPIの複数のインスタンスに分散させることで、APIが簡単には過負荷に陥らないようになり、スケーラビリティと可用性が高まります。つまりは、信頼性の高いサービスを安定して提供できるようになり、ユーザー体験が向上します。

API分析

APIの状況を把握したい企業にとって、APIゲートウェイは有効なテクノロジです。現在の多機能型のAPIゲートウェイでは、APIトラフィックの分析やキャプチャの機能を通じて、クライアントがAPIをどのように使用しているか、人気の高いサービスや、潜在的な課題が生じ得る部分について、価値の高いインサイトが得られます。

APIゲートウェイはAPIに対する防御壁として機能する為、これらAPIに対する攻撃や未認証アクセスから未然に防ぐ事ができます。APIマネジメントを横断的に実施するプラットフォームは、同時にAPIトラフィック全体の観測やトラフィック制御の役割も担います。

APIゲートウェイが提供するAPIリクエストのトラッキングや利用状況、パフォーマンスに関するメトリクスは組織運営にも大きな価値を提供します。ビジネス観点では、セキュリティルールの適用、アクセス制御の管理といった責務が容易になり、コンプライアンスや業界水準のセキュリティ対策を容易にします。APIゲートウェイの機能を活用することにより、セキュリティの強化やAPIエコシステムの健全性を高める事もできます。ビジネスとしては、サービスに対するより精度の高い洞察が出来るようになり、よりセキュアかつ信頼出来るサービスを手に入れつつAPIエコシステムを発展させる事が出来ます。

APIゲートウェイのコスト効率

APIゲートウェイのリソース最適化効果によって、バックエンドサービス開発への負荷を減らし、コスト削減に貢献することもできます。認証や認可といったエンハンスメントは、サービス開発への投資ではなく、APIゲートウェイの提供機能としてトラフィック制御とシームレスに適用されます。更にロードバランシング機能の様な機能によってサービスのスケーラビリティを高め、リソースの最適化にも貢献します。APIゲートウェイを活用することにより、組織は効率的にAPIリクエストを管理することができ、リソースを適切に利用することで費用対効果を高めることができます。この結果、API Gatewayを活用する企業は、パフォーマンスの向上とコスト削減を実現できます。

APIゲートウェイの今後の流れ

APIゲートウェイのテクノロジにイノベーションが生じたことで、ゲートウェイのパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティは大幅に向上しました。今後もモダンソフトウェアの開発を続けていくにあたって、この重要な構成要素を重視していく必要があります。Kongは最速のAPIゲートウェイであり、APIマネジメントプラットフォームです。信頼性とパフォーマンスが最も優れたクラウドネイティブAPIプラットフォームを利用して、企業は拡張をスピードアップし、開発生産性を高めることができます。

クラウドネイティブ

APIを取り巻く環境はますます複雑化しています。クラウドネイティブのゲートウェイに活路を見いだそうとしている企業が非常に多いのはそのためです。クラウドネイティブのゲートウェイは、負荷が高い状況でのスケーラビリティやレジリエンスに優れており、複数のドメイン間で信頼性の高い通信を必要とする現代の企業のニーズを満たすことを念頭に設計されています。こうしたゲートウェイの高度なマイクロサービスアーキテクチャは、さまざまなコンポーネント間の効率的な通信に加えて、クラウドベースの多数のサービスとのシームレスな連携に対応しています。

サーバーレスゲートウェイ

サーバーレスAPIゲートウェイの登場に対する認知度は高まりつつあります。サーバーレスの場合、APIゲートウェイの機能をサービスとしてプロビジョニングします。したがって、ゲートウェイインフラの管理やスケーリングは不要です。デプロイが迅速化してスケーラビリティが向上することから、大規模なAPIエコシステムの運営がしやすくなる点が、この新たなアプローチのメリットの1つです。

AIや機械学習を利用したセキュリティ

サイバー脅威の複雑化と巧妙化が進むなか、APIゲートウェイのセキュリティにおいて機械学習やAIベースのセキュリティが果たす役割は拡大することが予想されます。こうしたテクノロジにより、サイバー攻撃の特定や回避をリアルタイムで行い、API環境のセキュリティを強化することが可能になります。

まとめ

APIゲートウェイは、すべてのAPIリクエストを処理する唯一のエントリポイントの役割を果たします。APIゲートウェイがトラフィック管理、セキュリティプロトコル、キャッシュ、監視を担い、APIの効果的な管理、最適化、防御が可能になるという点で、APIゲートウェイの機能は不可欠です。ルート、ポリシー、エンドポイントなどの構成要素が密接に連携して、正しいリクエストに最適な処理を実施し、適切なバックエンドサービスにリダイレクトします。APIゲートウェイには、スケーラビリティ、パフォーマンスの改善、APIのシンプルな管理など、数多くのメリットがあります。今後は、クラウドネイティブでサーバーレスのAPIゲートウェイが次第に普及していくのに伴い、AIに加えて機械学習ベースのセキュリティが取り入れられていく見通しです。

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