CMA CGM、Kong EnterpriseとKong Konnectで運用開始までの時間を短縮

グローバルな輸送物流企業、Kongを活用してAPI運用のボトルネックを解消

国際輸送業界をリードする先進的企業

CMA CGMは、海運、陸運、空運、ロジスティクスのソリューションを手がけるグローバル企業です。本社はフランスのマルセイユにあり、コンテナ輸送会社として世界第3位の規模を誇ります。世界5大陸で420の商業港をカバーし、285の航路を展開しています。

年間2000万個以上のコンテナを輸送するCMA CGMは、輸送業界のエネルギー転換にも積極的です。代替燃料を利用し、また温室効果ガス排出量の実質ゼロを2050年に達成するとの目標を掲げて、業界で先駆的役割を果たしています。

業界 輸送

地域 ヨーロッパ

使用事例 パフォーマンス

導入時期 2020年

1000%増加
1カ月のデプロイ回数が1回から130回に増加(1000%増)
48時間
APIの設計、開発、デプロイに要する期間が3カ月から48時間に短縮
課題

大手国際輸送会社のロジスティクスでAPI管理ソリューションが必要に

CMA CGMはグローバルな輸送会社として、信頼性の高い先進的なITインフラを必要としていました。その基盤となるのはAPIです。社内のIT部門、パートナー企業、顧客企業からなるエコシステムのなかで、必要なデータがAPIを通じて行き渡るようにして、複雑な国際ロジスティクスをサポートする必要がありました。

CMA CGMは、数年前にAPIを最初に導入したときに、一貫したAPI設計、セキュリティ、ガバナンスを確保するために、手動チェックポイントを取り入れました。複数のチームが定めた基準を満たさないAPIは公開できない仕組みです。

その後、ビジネスニーズやAPIの導入が次第に加速すると、人間が関与するAPI運用はボトルネックとなりました。CMA CGMでDigital API Factory を率いるRomain Genoulaz氏は次のように振り返ります。「APIを構築するときに、設計から開発、デリバリまで、一連のチェックや検証を含めて完了するには、首尾よく進んでも毎回3カ月はかかっていました」

このケースでは、APIの品質を確保する正しい手段として取り入れたはずの手法が、APIのデリバリを大幅に遅らせていました。基準を満たすAPIの実現と引き換えに、スピードが犠牲になっていたのです。そこでCMA CGMは、リリースサイクルの短縮に向けて、新たな目標を設定しました。

「本番環境へのリリースのたびに、変更諮問委員会をはじめとする数多くの手順が必要となっていました。それも毎週1回です。これを完全に変える必要があると考えました」(Romain氏)

ソリューション

APIOpsのアプローチでリリースが増加

こうした課題を踏まえて、CMA CGMはKongを採用し、APIのデリバリにAPIOpsのアプローチを導入して、APIライフサイクル全体を自動化しました。

「それまでの手法を自動化して、Kong EnterpriseやKong Konnectなどの新たなツールを導入し、ツール内での制御を増やしたことで、何日もかかっていた人手での検証のステップをなくすことができました。従来の手法は、セキュリティやオブザーバビリティ(可観測性)などの面を人手で検証するステークホルダーへの依存があまりに大きく、デリバリのスピードを上げるには自動化しかありませんでした」(Romain氏)

「この路線は開発チームと運用チームのニーズに合っていました。今後はAPIのデプロイを両チームが人手で毎回検証する必要はありません。監視などの運用について定めた設定ファイルがAPIごとにあるからです。この設定ファイルはAPIのデプロイごとにスタックに配置されます。したがって、APIをデプロイすると、そのAPIを監視するコンポーネントも同時にデプロイされるのです」(同)

人手によるチェックが不要になったことで、Romain氏のチームは価値の高いAPIのデリバリを迅速化して、その回数を増やせるようになりました。

「我々が求めていたのは自律性でした。Kongを基盤とするAPIOpsを導入したことで、今ではライフサイクル全体を制御できます。新たに開発すべきAPIができたときには、APIのアーキタイプのほか、さまざまな統合ツールや監視ツールでの処理に必要な設定ファイル一式を、ブートストラップコンポーネントが同時に作成します。これらはすべて事前に設定済みで、設計に沿ったAPI開発を促します」(Romain氏)

成果

基準とセキュリティを常に満たし、プロセスを迅速化

新たなパイプラインでは、テストとセキュリティのシフトレフトも実現され、基準を満たしていない部分を早い段階で特定し修正できるようになりました。また、デプロイは宣言型になりました。さらに、すべてのAPIが同じパイプラインに従ってデプロイされることから、必要なセキュリティとオブザーバビリティもAPIに常に適用されます。以前は各APIの設定を人手で検証するためにチーム間で無駄なやり取りが発生していましたが、一連の手順の自動化によって、こうしたやり取りの多くを回避できるようになりました。

最大の成果は、以前は月1回のみのデプロイだったのが、例えば先月は本番環境へのデプロイが130回になったことです。それでいて、API利用者に質の高い体験を保証するための基準を常に満たしてもいます。

「コンポーネントのブートストラップの自動化から、Swaggerを使用したAPI設計の検証まで、要は何事に関しても継続的実施が重要だと考えています。Kongを基盤としてAPIOpsのアプローチを導入した結果、APIの定義、設計、開発、本番デプロイまでを48時間以内で行えるようになり、カスタマーエクスペリエンスは大幅に向上しました」(Romain氏)