日本のメディア/インターネット界の巨大企業
ヤフー株式会社は1996年創業で、日本を代表するメディア/インターネット企業です。検索エンジン、eコマース、メディア、広告など、100を超えるサービスをWebベースで提供しています。
現在、ヤフーが提供するサービスのユーザー数は110億人以上 、ページビュー数は月間700億以上と、どちらも日本屈指の規模を誇ります。
業界 メディア/インターネット
地域 アジア・日本
使用事例 認証と認可の一元化
導入時期 2018年
マイクロサービスへの移行に伴いAPIマネジメントソリューションが必要に
ヤフーは、市場での優位性を維持するために、マイクロサービスへの移行に着手し、サービスの開発とデプロイの迅速化を目指しました。そのためには、新たなAPIプラットフォームを導入し、API管理の一元化と、サービスのセキュリティ、可用性、性能の向上を実現する必要がありました。
ヤフー株式会社でコンピューティングプラットフォーム部の部長を務める福田奏氏 は次のように話しています。「ヤフーは近年マイクロサービスへと急速に移行しており、APIの一元管理を必要としていました。そこでAPIゲートウェイ製品の検討を始め、複数の製品を比較したうえで、Kongの採用を決めました」
ソリューションKongの採用で高性能なAPIプラットフォームを構築
テクノロジー 主導の企業であるヤフーにとって、イノベーションはDNAの核心です。マイクロサービスやAPI中心のアーキテクチャへの移行にあたってヤフーが求めていたのは、単なるゲートウェイではありません。モダンアーキテクチャ全体でAPIを一元管理できる、本物の高性能なプラットフォームを必要としていました。
「市場に出ている複数のAPIゲートウェイ製品の比較検討を始めました。我々に必要なのは将来的な展開にも対応できる製品でした」と福田氏は言います。「Kongは、ヤフーの現在のテクノロジーと完全に連携し、今後の展開に向けた基盤を確立できる製品であることが分かりました。オンプレミスにデプロイ可能で、社内全体のテクノロジーとの統合も容易です。我々が望む柔軟性を確保し、ベンダーロックインを回避できます」(福田氏)
成果Kongでサービス開発の生産性が向上
ヤフーは、社内のすべてのAPIエンドポイントに対するトラフィックのプロキシ処理やルーティングをKongに集約し、認証と認可の機能を一元化しました。開発者は認証と認可のコードをAPIごとに作成する必要がなくなり、数時間分の作業を削減できました。
また、Kongを通じて社内向けのAPIの一元的な公開と発見が可能になりました。開発者はAPIを簡単に見つけて呼び出すことができます。
テストのプロセスに関しては、Kongのカナリアリリース機能を利用して、最新のソフトウェアを本番環境に導入する際のリスクを軽減しています。カナリアリリースでは、一部のユーザーのみを対象として更新を徐々に展開し、潜在的な課題を評価する時間を確保したうえで、本番環境全体への正式展開に移っていきます。
サービス開発を効率化
ポータルサイトを通じて100以上のWebサービスを提供しているヤフーにとって、サービス開発の効率化はビジネスの成功に不可欠です。
「我々の部門の仕事は、Webサービスの開発とデプロイを迅速化できるプラットフォーム機能を提供することです。当社では何百ものチームがサービスを開発しています。APIゲートウェイを導入すれば、冗長なコードの作成に費やしていた数百時間を削減できると考えました」(福田氏)
ヤフーはKongのプラグインアーキテクチャを活用して、ゲートウェイを必要以上に複雑化することなく、マルチテナント、スケーラビリティ、セキュリティに関する機能を直ちに強化することができました。
ヤフーは開発と運用のさらなる効率化のために、Kongを利用してFunction-as-a-Service(FaaS)を実現しました。Kong導入以前は、サーバー管理の実務的な作業がサービス開発チームにとってボトルネックとなることがよくありましたが、FaaSを導入したことで、こうした作業は不要になりました。
「ヤフーの場合は他社とは違って、外部のパブリッククラウドサービスは利用できません。ヤフーの厳格なセキュリティ基準をパブリッククラウドで満たすとなると、コストの面で無理があるからです。そこで、セキュリティ基準を満たすプラットフォームを自前で構築しています。OpenWhiskベースのFaaSとKongを利用することで、マルチテナントやセキュリティに関する機能を強化できました。周辺作業に関する心配もありません。KongとFaaSはヤフーにとって最善の選択です。オンプレミスへのデプロイが可能で、社内で利用しているテクノロジーとの連携も容易です」(福田氏)
KongのプラットフォームはすべてのAPIへのルーティングを担っており、その可用性はサービス継続性に欠かせません。Kongは内蔵のクラスタリング機能によって高可用性を確保し、単一障害点を排除しています。
加えて、Kongにはサーキットブレーカー機能があります。障害が発生したバックエンドを検知して切り離し、正常なバックエンドでサービスを継続させる機能です。これがヤフーのサービスの継続性向上につながっています。
「我々の使命は、ヤフーのサービス開発チームの生産性を絶えず向上させていくことです。Kongを導入したことで、今後のイノベーションに向けた準備は万全です」と福田氏は話しています。